強気相場で差をつけるための実践的プレイブック
株式市場が急上昇すると、多くの投資家は「ただ見ているだけ」で利益を逃してしまいます。
短期ラリー(急騰局面)は誰でも資産が増えたように感じる瞬間ですが、その裏には大きな落とし穴があります。
CNBC「Mad Money」のジム・クレイマーは、こうした場面で取るべき「ラリープレイブック」を解説しています。
本記事ではその要点を整理します。
目次
短期ラリーは「売り場」である
ラリーは「もっと買いたい」と投資家心理を煽ります。しかしクレイマーは真逆の行動を推奨します。
- 利益は「売却」で初めて確定する
- 株価急騰時は割高化しやすい
- 本来の目的は“売り高・買い安”である
つまり、「市場が盛り上がっている時こそ、一部を売却して利益を確保する」ことが最重要です。
ポートフォリオを「厳しく査定」する
ラリー時は持株に惚れ込みやすくなります。しかし冷静な判断こそ必要です。
- 全銘柄を“有罪”と仮定して再評価
- 株価が上がった分だけ割高になり、リスクも増加
- 企業の本質的価値が向上していないなら「売却候補」
クレイマーは実際に保有株を1~4段階でランク付けし、
- ①今すぐ買いたい
- ②押し目なら買いたい
- ③上がったら売りたい
- ④保留
という基準で常に見直しています。
現金(キャッシュ)は「最強の武器」
多くの個人投資家は「フルインベストメント(全額株式)」を美徳と考えがちですが、クレイマーは明確に否定します。
- 最低5~10%はキャッシュを保有
- ラリー時に利益確定 → 現金を確保
- 下落局面で割安株を拾うための“火力”になる
「現金はポートフォリオのガソリンタンク。ゼロでは走れない」と強調しています。
過去の教訓:2021年のクラウド株バブル
- 2021年、クラウド系ソフト株は好業績企業も含め全体が過熱
- 2022年、FRBの利上げでほぼ全銘柄が暴落
- ラリー時に利益を確定していれば痛手を防げた
つまり「良い銘柄でも高すぎる株価は危険」という実例です。
リスク管理の視点:儲けすぎは危険信号
市場平均を大きく上回る急騰を経験したときは注意が必要です。
- 過度な集中投資やセクター偏重の可能性
- 信用取引(レバレッジ)の過剰利用
- 長期的に大きな下落リスクを抱えることになる
分散投資を怠った投資家は、2021年のEV・クラウド株暴落で大きな損失を出しました。
投資家への実践ルール(まとめ)
- ラリーは買い場ではなく売り場
- 保有株を冷徹に再評価する
- 一部を売却してキャッシュを確保
- 利益確定は「準備」=次の下落に備える行動
- 儲けすぎはリスクのサイン。分散を見直せ
まとめ
株式市場の短期ラリーは一見「資産が増えるだけのご褒美」のように思えます。
しかし実際は、将来の暴落に備えられる「絶好の調整機会」です。ジム・クレイマーの言葉を借りれば――
「ラリーでは売れ。キャッシュこそ最大の武器だ。」
投資家が冷静に行動できるかどうかは、この瞬間にかかっています。