📉 「テックラリーは夏の終わりに息切れする」
ウォール・ストリート・ジャーナルがそう報じ、ダウは▲349ドル、S&P500は▲0.43%、ナスダックは小幅安。
市場では「メガテックを今のうちに売れ」という声が広がっている。
しかし、ジム・クレイマーはこれに強く反論する。
彼の論点を整理すると、投資家にとって重要な「短期トレードと長期保有」の分岐点が見えてくる。
目次
1. 「売りの理由」とその危うさ
- 夏場は欧州の休暇シーズンでテック需要が鈍化しやすく、昔のヘッジファンド時代、クレイマー自身もショートしていた。
- NVIDIAとMicrosoftが市場全体の約15%を占めるという偏りは「崩壊の予兆」として語られる。
- こうしたシーズナリティに基づいた「売り」は、理屈としては正しそうに見える。
しかし彼は言う。
「売るのは簡単だが、いつ買い戻すかが極めて難しい」。
実際、Alphabetを規制リスクで売却した際、株価はその後30ドル急騰。
買い直せずに利益を逃した経験を悔やんでいる。
2. Appleを「持つべき株」と呼ぶ理由
- iPhoneは依然として「唯一無二の製品」。クロアチアの秘境でさえ、観光客全員がiPhoneを取り出していた。
- AI戦略が見えにくく、Siriの不調を指摘されても、ブランド力と製品力が圧倒的である以上、短期の揺れで売るのは愚策。
- 「Appleはトレードする株ではなく、持ち続ける株だ」と断言。
3. NVIDIAは終わりなのか?
- 懸念点:
- 中国需要の減退
- 高額チップを買い続けるハイパースケーラーの投資意欲
- だがクレイマーは「AIが次世代に進化する以上、ハードウェアが未来を握る」と逆張り。
- 新世代チップは「推論」から「推論+推敲(Reasoning)」へと進化し、チャットボットが対話を通じて精度を高める“聖杯”を実現する。
- 「AI支出が減速する」と考える方が非合理的とまで言い切る。
4. 小型株シフトの幻想
- 「メガテック売り・小型株買い」のローテーション論もあるが、ETFを通じた小型株投資は「グレーターフールゲーム」になりやすい。
- クレイマーは「小型株バスケットは中身を精査しないと地雷が多い」と警告。
5. 具体的な銘柄分析
Home Depot(HD)
- 決算は見かけ上「売上・EPS未達」だが、内容を精査すると強い。
- 月次売上推移(5月▲3% → 6月±0 → 7月+3.1%)が改善。
- プロ向け事業拡大と配送網強化で、長期的な収益基盤はむしろ強化されている。
- 金利低下局面では「住宅関連株の恩恵」を最も受ける。
CVS Health(CVS)
- 2024年は壊滅的だったが、2025年はヘルスケア株の中で唯一の勝者。
- ライバル(Walgreens・RiteAid)が崩壊し「最後の生き残り」としてシェア独占。
- 株価は年初来+58%、それでもPERはわずか11倍、配当利回り3.7%。
- CEOデビッド・ジョイナーの改革が評価され、UBSも格上げ。
Pitney Bowes(PBI)
- 郵便関連の「斜陽産業」と見られていたが、アクティビストCEOが再建。
- フリーキャッシュフローを23百万ドル→3.5億ドルへ急改善。
- 郵便仕分け・ソフトウェア・自社銀行など“隠れ資産”が評価され、株価は2年で4倍超。
6. インテルと米政府の「異例の10%出資」
- トランプ政権は補助金を株式化し、米政府がインテル株を9.9%保有。
- 「国家安全保障上の半導体供給確保」が目的。
- 希薄化懸念で議論はあるが、資本注入により破綻リスクを一掃し、台湾依存からの脱却を狙う。
- クレイマーは「これは社会主義ではなく国家戦略」だと擁護。
まとめ:売り急ぐな、成長株は「保有」で報われる
- 短期のニュースや季節要因に惑わされ、メガテックを売り逃すのは大きな機会損失につながる。
- AppleやNVIDIAのような「成長の中枢」にある企業は売買のタイミングを狙うのが不可能に近い。
- 代わりに、Home DepotやCVSのようなセクター別の勝者を見つけ、長期で保有するのが正解。
- インテルのケースは「政府が国家戦略でどこまで介入するか」を示す象徴。
🚀 結論:テック株の一時的な疲れを「終わり」と錯覚するな。AIと成長の波は続く。
売り急いだ者だけが、本当の富を逃すのだ。
👉 あなたは今、AppleやNVIDIAのような「コア銘柄」を握り続けますか?
それとも夏のノイズに流されて“売り”に動きますか?