いよいよNVIDIAの決算が迫っています。
今回の決算は単なる「ビートするかどうか」以上の意味を持ち、市場全体のセンチメントを左右する可能性があります。
ビートとは?
決算発表で 「市場の予想を上回った」 という意味で使います。
- 例:「NVIDIAがEPS予想をビートした」= NVIDIAの1株利益(EPS)がアナリストの事前予想を上回った
- 「トップライン(売上高)ビート」「ボトムライン(純利益)ビート」と分けて使うことも多いです
逆に下回った場合は「ミス(miss)」と言います。
以下、投資家が注目すべき視点を整理しました。
目次
1. 直近の数字とストリート予想
- 前回売上:440億ドル
- 今回の会社ガイダンス:450億ドル
- ストリート予想:462億ドル
- 純利益予想:249億ドル(ネットマージン53%超)
53%の純利益率は驚異的で、AMDの約2倍に相当。
これだけでも「利益製造マシン」であることがわかります。
2. 成長率と市場の期待
- 前期比の売上成長は+4.2%程度と控えめ。
- ただし、JPモルガンなどはQ3ガイダンス 530〜540億ドルを予想。
→ これが実現すればQoQ +15%成長に回復する可能性。
市場は「ビートは当然」と見ているため、成長ガイダンスが最大の焦点です。
もしガイダンスが550億ドルを超えれば「ムーンシナリオ」、逆に530億ドルを下回れば「成長減速懸念」で株価調整リスクが高まります。
3. セクター環境と逆風要因
- 中国リスク:中国政府によるNVIDIAチップ規制。→ 代替として中国版NVIDIA(688256)の株価が急騰。
- 需要の裾野:ハイパースケーラー(Meta, MS, Google等)だけでなく、スタートアップや中小企業も「Blackwell 6000」などを導入し始めている。
- 供給制約:SuperMicroのラック導入は納期8週間。依然として需給タイト。
4. 株価水準と心理的ライン
- テクニカルでは198ドルライン、突破すれば心理的200ドルを目指す展開。
- ブレイクの条件はガイダンスが55B超え。
- 逆に53B未満のガイドなら「買い疲れ → 利確売り」につながりやすい。
5. ボラティリティとオプション戦略
- インプライド・ボラティリティ:5.93%(過去比較で低水準)
- → コール/プット共に「オプションが割安」に見える局面。
- 決算プレイを狙うなら「方向感次第で一気に跳ねやすい」状況。
6. 今後のカタリスト
- 9/5:米国雇用統計
- 9/9:QCEWリビジョン
これらマクロイベントが待ち構えているため、決算で上昇しても外部要因で調整される可能性は残る。
まとめ
✅ EPS/売上はほぼ確実にビート
✅ 最大の焦点は「ガイダンス」
- 55B以上 → 株価200ドル突破シナリオ
- 53〜54B → コンセンサス並み、株価は横ばいか小幅反落
- 53B未満 → 成長減速懸念、投資家の過熱感が冷える
NVIDIAはAIブームの中心であり続けていますが、市場は「次の成長ストーリー」を求めている段階です。
今回の決算はその期待に応えられるかどうかの試金石となるでしょう。