インドのニュースを整理すると、いま経済は「二面性」を強く見せています。
明るいニュース:GDP成長率7.8%
2025年4-6月期のGDP成長率は7.8%。
過去5四半期で最も高い伸びであり、政府が掲げる「Reform・Perform・Transform」というスローガンがある程度実を結んでいる形です。
人口ボーナス、旺盛な消費、製造業投資の拡大、日本を含む海外からの直接投資などが下支えしています。
特にモディ首相は東京での演説で、日本企業による今後10年間での約680億ドルの投資を強調。
インドが「世界の成長エンジン」として存在感を増していることを訴えました。
暗いニュース:金融市場の動揺
一方で株式・為替市場は弱含みです。
- Nifty:74ポイント安(24,427)
- Sensex:271ポイント安
- Bank Nifty:165ポイント安(53,656)
- ルピー:1ドル=88.20と過去最安値
- 国内金価格:12,800ルピー超で過去最高
株安・通貨安・金高という典型的な「リスク回避のトリオ」が揃っています。
背景には、外国人投資家の売り越し、ドル高圧力、そして米中摩擦や関税戦争の波及懸念があると見られます。
政治リスクと社会不安
ニュースの後半では、与野党の激しい衝突が伝えられています。
来年の州議会選挙を前に、発言をめぐる乱闘や訴訟合戦が頻発。
こうした政治リスクは外国資本にとって懸念材料となり、短期的には株式市場の重荷になり得ます。
政策面の焦点:GST(物品サービス税)
州政府はGST税率引き下げによる歳入減を懸念し、補填措置を要求。
特に建設資材(セメント・鉄鋼)への課税見直しが住宅価格に直結するため、ここは一般国民にも強い関心があります。
もし減税が実現すれば、インドの住宅取得コストは下がり、「住宅ブーム再加速」につながる可能性があります。
日本にとっての意味
モディ首相が「日本は最重要パートナー」と明言したのは象徴的です。
エネルギー・製造・IT分野での日印連携は拡大しており、インド市場での日本企業プレゼンスは今後さらに高まるでしょう。
逆に言えば、日本企業にとってインドは「中国リスクを補う最大の市場」になりつつあります。
投資家視点での整理
- マクロ経済は堅調 ― 7.8%成長は世界主要国でトップ級。
- 市場は短期的に不安定 ― 通貨安・株安が続き、外国人投資家の資金フローが逆風。
- 政策の転換点 ― GST改革や不良債権処理制度(IBC改正)がインフラ・不動産に波及。
- 地政学的後押し ― 日本をはじめ同盟国の投資拡大で中長期の成長シナリオは強固。
◎ 筆者の考察
インド経済は「短期の揺れ」と「長期の強さ」が同居しています。
為替の弱さや株価調整は、むしろ長期投資家にとっては割安エントリーの好機になる可能性が高い。
特に住宅、不動産、インフラ関連はGST減税や金利動向次第で大きな追い風を受けるでしょう。
一方で、政治的な混乱や行政インフラ不足(NCLTの人員不足など)はリスク要因。
これを乗り越えられるかが、インドが「第三の経済大国」に到達できるかどうかの試金石となります。
👉 結論:「足元は不安定だが、未来は明るい」
インドは短期的に市場が荒れても、長期では日本を含む海外資本にとって最も注目すべき投資先であり続けるでしょう。