仮想通貨市場において「アルトコインローテーション」という言葉はよく聞かれます。
一般的には「ビットコインが上がり、その後イーサリアム、そして大型アルトコイン、中小型アルトコインへと資金が流れる」というシナリオを指します。
しかし実際には、それほど単純ではありません。
今回の記事では、Coin Bureau Tradingの分析を踏まえながら、アルトコインローテーションの実態を深掘りしてみます。
1. ローテーションの“前提”を疑え
多くの投資家が抱く前提は「BTCやETHを売って別のアルトコインを買う」こと。
しかし現実には、売却せずに借り入れを活用する動きが主流です。
- 仮想通貨を担保にステーブルコインを借り、その資金でアルトコインへ投資
- 税制上も有利(地域によるが、売却益課税を回避できる)
- 借り入れ環境の整備(DeFi・CEX・銀行系サービスまで拡大)
つまり「ローテーション=BTC売却」ではなく、「資金の借り入れを通じた循環」が真の姿なのです。
2. 流動性の移動は“秒単位”で起こる
過去サイクルと比べて、資金移動のスピードは劇的に向上しました。
- CircleのCCTPにより、USDCを複数チェーン間でほぼゼロコストでブリッジ可能
- AaveなどのDeFiはポジションごとチェーン間移動を実現
これにより、資金は従来のように「数週間かけてゆっくり移動」ではなく
数時間〜数日単位で一気に流れ込むことが可能となっています。
3. なぜクジラはアルトを買うのか?
答えはシンプル。利益のためです。
アルトコインは流動性が薄く価格操作が容易なため、
- クジラが仕込み
- 価格を吊り上げてリテールを呼び込み
- その後売り抜ける
というサイクルが繰り返されます。
「アルトコインシーズン」という言葉の裏には、こうしたマネーゲーム的構造が横たわっているのです。
4. サイクルは“長期化”しない
2020〜2021年のサイクルでは、BTC→ETH→大型→小型というローテーションが数カ月単位で継続しました。
これは「コロナ禍によるロックダウン」という特殊要因が背景にあります。
人々が自宅にこもり、余剰時間を投資リサーチに費やしたことで
NFTやDeFiといった複数のテーマが順番に脚光を浴びる“長い祭り”となったのです。
しかし通常時は事情が異なります。
- 人々は市場以外の生活に忙しい
- 投資家の関心は短期的に集中して移り変わる
結果として、アルトシーズンは6〜8週間で終息するケースが多いのです。
2017年のバブルもわずか2カ月でアルトが平均8倍に膨らみ、その後急落しました。
5. 2025年サイクルに当てはめると?
- ビットコイン優位の時代は終わりつつある
2022年以降上昇し続けたBTCドミナンスが2025年夏にかけて下落傾向。資金がETH・SOL・大型アルトへと動き始めている。 - ローテーションは“高速化”する
BTC→ETH→SOL→中小型アルトまでの流れが「数週間」で一気に進行する可能性が高い。 - 最終局面は一斉上昇
2017年同様、最後はテーマやセクターを問わず「一斉に上がる」展開が想定される。その後は一気にピークアウトしやすい。
6. 投資家への示唆
- 時間軸を誤解しない
「ローテーションに半年かけて乗る」では遅すぎる。6〜8週間の短期戦と認識すべき。 - 資金フローを読む
CCTPやDeFiポジション移動など、新しい流動性経路を理解しておくことで、一歩早く相場の変化に気づける。 - 小型アルトはリスク管理必須
クジラの利益確定で一気に崩れるため、「いつ降りるか」を事前に決めておくことが重要。
結論
アルトコインローテーションは「BTCを売ってアルトを買う」という単純な動きではなく、借入・流動性移動・クジラの戦略によって高速に展開するものです。
2025年の相場では、この動きが従来以上に短期集中で起こる可能性が高い。
つまり、投資家が勝ち抜くためには「2020年型の長期ローテーション」を前提にするのではなく
2017年型の一斉上昇・短期決戦を想定して動く必要があります。
👉 あなたはアルトコインシーズンが「6〜8週間説」だと思いますか? それとも「2021年型の長期戦」だと思いますか?