投資家の皆さん、「またか…」と思っていませんか?
「市場はたった数社の巨大テックに集中しすぎている。これは危険だ。暴落が近い」——
そんな“恐怖キャンペーン”が、再びウォール街を駆け巡っています。
でも、ジム・クレーマーは真っ向から反論しました。
「集中は危険じゃない。利益を生み出す力だ。過去12年、それでどれだけ儲かったと思ってるんだ?」
この記事では、ジム・クレーマーのMad Money最新回で語られた「集中投資の真実」、そしてAlphabet(Google)・Apple・Netflix・Macy’s・Salesforceなど注目企業の解説と共に、初心者がこれから取るべき戦略をまとめます。
🎯 市場の“集中リスク”はむしろ勝ち組を示すシグナル
「FAANGはもう古い」「バブルだ」「AIバブルだ」——
そう言われ続けてきたテック企業群は、今や世界経済の中枢になっています。
ジム・クレーマーが2011年に名付けたFAANG(Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Google)という言葉。
当時は「今さらかよ」と馬鹿にされましたが、その後の12年間、これらの企業が市場を牽引してきた事実は揺るぎません。
「集中しているから危ない」というのは、株を持ってない人間の遠吠えに過ぎない。
✅ 重要なのは、「なぜ集中しているのか?」という構造。
✅ 世界中の消費者、企業、政府が使い続けているか?
✅ 競争優位(ネットワーク効果・スケーラビリティ)が維持されているか?
これらを満たす企業に資金が集まるのは、自然な結果です。
🔍 Google(Alphabet)とAppleに何が起きたのか?
今回のエピソードの核心は、AlphabetとAppleに対する過剰な不安でした。
昨年、米司法省がAlphabetを「独占企業」として訴え、Chromeの分離や事業売却の可能性が取り沙汰され、クレーマー自身もAlphabet株を売却。
「正直、あれはミスだった。50ドル分の上昇を逃した」
しかし、今年に入って状況は激変。
✅ 判決が事実上覆り、「独占ではない」という方向へ
✅ Googleは引き続きAppleに年間200億ドル以上を支払い、デフォルト検索の地位を維持
✅ 逆に、Appleは今後各社AIに「デフォルト権」を売る立場に。「Pay to Play戦略」の発動
つまり、AppleがAI時代の“入り口”を握っていることが明確になりました。
📈 Alphabetの“Gemini恐怖”は買いチャンスだった
クレーマーは、AlphabetのAI「Gemini」が検索をカニバリするという懸念で株を手放しました。
でも、現実には
- Geminiは検索を補完しており、破壊していない
- 競合も多数(Anthropic、Meta、Microsoft、Perplexityなど)いて、むしろ分散競争状態
- 結果、Google株は1日で+9%の上昇を記録
「私は売ってしまった。だが、あなたは学んでほしい。“恐怖”ではなく“事実”を見ることが大事だ」
🛍️ Macy’sはなぜ20%も株価が急騰したのか?
Macy’s(メイシーズ)は、長年「落ち目の百貨店」と言われてきました。
しかし今回、なんと1日で+20%超の上昇。その理由は?
- EPS:19セント予想に対し41セント
- 売上も予想超え、12四半期ぶりの好成績
- 在庫管理が改善し、過剰在庫のリスクを回避
- ポイントプログラムによるロイヤル顧客の囲い込み
さらに、クレーマーは次のように語っています
「在庫と顧客体験に本気で投資した企業が生き残る。Macy’sはその代表例だ」
Martin Marietta:インフラとデータセンターのダブル追い風
Martin Marietta(建材大手)は、インフラ投資とデータセンター建設の両方から需要を受けており、株価も堅調。
ポイントは
- 米国南部の人口増加に伴う道路建設ニーズ
- データセンター建設は、従来のビルより10倍以上の資材を消費
- バイデン政権のインフラ法で連邦資金が継続的に投入中
「住宅着工が鈍くても、Martin Mariettaのビジネスは鉄板。Fed関係なしに成長する分野だ」
Salesforce:「AIを売る」のではなく、「業務構造を変える」
Salesforceのマーク・ベニオフCEOは、AI戦略をこう定義します
「我々はChatGPTを売っているのではない。“企業をエージェント化”するソリューションを売っている」
✔️ 顧客サポートにAIエージェントを導入
✔️ 今後は営業部隊にも展開(自動電話、アポ設定、案件生成)
✔️ SlackやCRMとの連携で、完全な業務再構築を図る
投資家が見るべき指標は「CRPO」だけでなく、次のような構造変化の兆しです
- 顧客単価(ARPU)やサポートコストの削減率
- パイプライン成長率
- 顧客定着率(NDR)
「AIは“コストカット”の道具じゃない。業務構造の革新こそが本質だ」
「K字経済」ではなく“ランニング・イン・プレイス経済”?
最後にクレーマーは、巷でよく言われる「K字経済」(富裕層だけが豊かになり、その他が沈むという構図)に異議を唱えました。
「皆が“それなり”に使っている。ただ、価値に敏感になってるだけだ」
- 高所得者:海外旅行、ラグジュアリーホテル、航空券
- 中〜低所得者:国内旅行、TJX(オフプライス)、Macy’s、ファミレス
つまり、消費が「消えた」のではなく、シフトしただけ。
この流れを読み取れる企業が、勝ち続ける構造になっています。
✅ 投資初心者が取るべきアクションまとめ
戦略 | 内容 |
---|---|
恐怖で売らない | 集中リスクではなく、ビジネスの質を確認する |
バリューチェーンで見る | Appleは「入口」、Salesforceは「中枢」、Googleは「演算」の主役 |
分散で逃げず、理解で攻める | 投資の根拠を“他人の声”でなく“自分の理解”にする |
📌 まとめ:勝者に集中するのは「資本の本能」だ
ジム・クレーマーはこう締めくくりました。
「集中は危険じゃない。それは“富が集中する構造”を、マーケットが正しく読んでいるだけなんだ」
私たちがやるべきことは、ただ一つ。
恐怖の物語に踊らされるのではなく、現実の構造を読み解くこと。
テック、AI、小売、インフラ。
それぞれの“勝ち筋”を理解し、「持つ理由」を持ち続けることが、次の利益を生むのです。