「顔面を殴られるまでは誰だって計画を持っている」──
マイク・タイソンのこの言葉は、まさに暗号資産市場を象徴している。
相場は想定外に速く、あるいは遅く動き、上昇と下落の幅も常に極端だ。
そのため利確(利益確定)と損切りの設計は、銘柄選び以上に投資家の成否を左右する。
今の市場サイクルはどこか
暗号資産は4年サイクルで動く。1〜2年の強気相場、2〜3年の弱気相場が繰り返される。
現在はビットコインが大きな上昇を終え、資金がイーサリアムやソラナといった大型アルトに流れ始める局面にある。
したがって、BTCは利確を検討する段階、アルトは段階的な利確や反発狙いが有効な段階といえる。
戦略は人によって異なる
判断基準は時間軸・資産規模・リスク許容度・税制の4つだ。
・長期、資産に余裕、リスク許容度が高い、税制が軽い
→ BTCは利確を急がず長期保有も妥当
・短期、資産が少ない、リスク許容度が低い、税制が重い
→ アルトはこまめな利確と損切りで生存率を高めるべき
「早売り」と「遅売り」どちらを許容するか
完璧な天井や底で売買できる人はいない。
だからこそ自問すべきは
「早く売って上昇を見送る」のと「遅く売って利益を吐き出す」のとではどちらが耐えられるか。
BTCは遅売りリスク、アルトは早売りリスクが相対的に高い。
利確と損切りの基準は月足ボリンジャーバンド
初心者ほど月足チャートを開き、ボリンジャーバンドの中心線を利確・損切りの目安にすべきだ。
さらに心理的節目(1ドル、5ドル、10ドル、100ドルなど)を重ねれば、判断の精度が高まる。
💡 段階利確が最適解
例えば、あるアルトで30・40・55ドルを抵抗水準とするなら
・30ドルで25%利確
・40ドルで25%利確
・55ドルで25%利確
・残りは新高値を狙って保有
といったように分散して売ることで「早売り」と「取り逃し」の両方を最小化できる。
🧯 損切りも「利確の鏡」
銘柄が死んでいない限り、同じ方法で段階的に撤退すればよい。
だがハックや流動性蒸発といった致命的ファンダが出れば即撤退が鉄則。感情で判断を変えてはいけない。
🚧 よくある落とし穴
・一括利確や一括損切りで後悔 → 最初から分割を前提に
・「戻り待ち」で塩漬け → 例外条件を決めて機械的撤退
・税コスト軽視 → 保有期間調整や翌年への繰延も設計
・取引所手数料の無視 → 頻回取引では致命傷になり得る
💼 利確後の資金の行き先も重要
暗号資産から撤退した資金をそのまま別のホット銘柄へ移すのは危険だ。
株式も暗号資産もリスクオン・オフに巻き込まれるため、同時下落に備える必要がある。
ステーブルコインやトークン化資産は便利だがカウンターパーティリスクを抱える点を忘れてはならない。
📒 実践チェックリスト
・サイクルの現在地を把握したか
・自分の時間軸・資産規模・リスク許容度・税制を整理したか
・月足中心線と心理的節目を確認したか
・段階利確と段階損切りのルールを設定したか
・例外条件を定義したか
・指値やアラートを事前に仕込んだか
個人的な視点
サイクル終盤は最も感情が介入しやすい。
だが月足チャートという静かな地図と、分割売買という機械的ルールを持てば
相場のパンチを正面から受けずに済む。
勝敗ではなく生き残りを優先した者だけが、次のサイクルで複利の席につける。
結論:完璧な天井を狙う必要はない。
必要なのは、自分に合った段階利確と段階損切りのルールを決め、それを徹底的に実行することだ。