仮想通貨市場が迎える“史上最高レベルの仕込み場”――米経済と市場構造から読み解く2025年のシナリオ

いま、仮想通貨市場において「史上最高のセットアップ」とも言える環境が整いつつある。
表面的には米経済と株式市場が好調に見える一方で、データを掘り下げると景気の弱含みやスタグフレーションの芽が見えてくる。

そしてこのねじれたマクロ環境は、ビットコインの二面性(リスク資産としての顔と価値保存資産としての顔)を同時に引き出しかねない。
さらに小型株指数と仮想通貨の強い相関、ETF承認期待、ドル安見通し、供給減少というファンダメンタルが重なり、2025年末から2026年にかけて爆発的な相場展開が想定される。
以下でその全貌を整理していこう。


目次

小型株が点火するリスクオンの連鎖

米株市場の代表格といえばS&P500だが、実際の「リスク選好」を映すのはラッセル2000(小型株指数)である。

S&P500は必ずしも時価総額上位500社だけではなく、委員会が選定する大手企業群で構成される。
一方ラッセル2000は小型株2,000社をカバーし、リスク資金の動向を敏感に反映する。

2021年11月、ラッセル2000は2,442.74の史上最高値を記録した。
その後2024年末にかけて抵抗帯として何度も機能し、ビットコインやアルト市場の上値も重くなった。
だが現在、この天井ラインに再び迫っている。
過去にはラッセル2000の上抜けと同時期に、TOTAL3(ビットコイン・イーサ・ステーブル除く時価総額)やOTHERS(上位10通貨除く時価総額)が同時に高値更新した例があり

小型株のブレイクはアルト市場の本格点火につながりやすい


マクロ・オシレーターが示す“先走りシグナル”

市場分析者の一部は、公開データ40種を19のマクロ指標に集約したオシレーターを用いている。
その早期転換モード「Pulse」が現在、上昇ブレイクを示唆している。
チャート形状も典型的な上昇三角形(アセンディング・トライアングル)であり、投資家心理が「抜け待ち」状態にあることが分かる。

もちろん相関は因果を保証しない。
しかし、株と仮想通貨が同時にリスクオンへと傾きやすい環境が整いつつあるのは事実だ。


雇用統計ショックとFRBの利下げ圧力

2025年夏、米労働省は2024年4月から2025年3月の雇用増加数が累計91.1万人過大計上されていたと発表した。
これは近年最大級の下方修正であり、米経済の「思ったほど強くない現実」を浮き彫りにした。

雇用は景気の基盤であり、悪化は消費・投資の停滞を意味する。
しかし金融市場の視点では、これはFRBに強い利下げ圧力をかける要因となる。
利下げは流動性を高め、リスク資産への追い風となる一方、インフレ圧力を再燃させるリスクも併せ持つ。


スタグフレーションの芽とビットコインの二面性

2025年8月、米CPIは前年同月比+2.9%、コアCPIは+3.1%とインフレ粘着が確認された。
雇用の弱さと物価上昇の組み合わせは、典型的なスタグフレーションの兆候である。
政策当局にとっては悪夢だが、ビットコインにとっては両面での追い風になり得る。

  • 流動性供給=リスク資産として上昇
  • 通貨不安=価値保存資産として需要増

つまりビットコインは、この状況下で“どちらの顔でも買われやすい”という稀有な立ち位置を占める。


ドル安シナリオとリスク資産

モルガン・スタンレーは、DXY(ドル指数)が2026年末までにさらに約10%下落する可能性を指摘している。

実際2025年上期には既に約11%下落しており、ドルの軟化は現実化しつつある。
ドル建てで評価される資産にとって、これは見かけ上の上昇圧力となる。
歴史的にビットコインとドルは逆相関傾向が強く、ドル安局面はビットコインの押し上げ要因だ。


ETF承認と機関資金の参入

2025年11月14日に最終判断が予定されるソラナETFをはじめ、アルト系ETFの承認機運が高まっている。
すでにイーサリアムETFが定着しつつあり、資金のオンランプは拡大している。

ETFは流動性を厚くし、投資家の参入障壁を下げるため、市場の地盤を固める役割を果たす。


供給の締まりとトレジャリー戦略

オンチェーンデータでは、取引所に残るビットコイン残高が長期的に減少傾向にある。
短期的には増減があるものの、総じて「売り圧力の減退」を意味する。

また、企業が自社バランスシートにBTCを積み増す「デジタル資産トレジャリー戦略」が広がり、フリーフロートはさらに絞られている。
供給が締まる一方でETFなどの需要口が増える構図は、上昇相場の火力を高める典型だ。


2つのシナリオ

  1. 年末ローカルトップ型
    ラッセル2000やTOTAL3が抵抗帯で失速すれば、仮想通貨は段階的な利確局面に入る。
    BTCは高値更新後にボラ拡大、押し目を形成しやすい。
  2. 拡張サイクル型(2026年まで)
    小型株のブレイク、FRBの利下げ、ETF資金流入が重なり、長期的な上昇サイクルへ移行。
    BTC主導で始まり、ETHや主要アルト、さらには中小型アルトへと波及。

いずれにしても、ビットコインは“波乗り資産”と“退避資産”の二役を果たしながら相対的優位を維持する。


投資家への実務的示唆

  • 条件ベースでの売買
    「週足で抵抗線を明確突破→段階的買い増し」「下抜け→部分利確」のように、価格ではなく条件でルール化。
  • 資金管理と分散
    BTC・ETHをコアに据え、テーマ別アルトをサテライト的に配分。暗号資産全体の資産比率を固定ルールで管理。
  • 利確は美徳
    急騰局面ではリバランスを行い、利益を確定して次の波に備える。
  • 情報の健全性
    SNSで出回る相関チャートは参考程度に。複数指標で相互検証が必須。

筆者の見解:ビットコインは“ねじれ相場”の産物

いま世界は「景気減速」と「インフレ粘着」という相反する力に引き裂かれている。
株式市場は好調に見えても、雇用や物価の数字はほころびを示し始めた。
だがそのねじれがこそが、ビットコインというハイブリッド資産をもっとも輝かせる舞台を用意している。

株が強くても、景気が弱くても、ドルが揺らいでも
どのストーリーでもビットコインには買いの理由が付与される。

供給が絞られるなかで需要の導管が太くなる2025年後半から2026年は、過去に例を見ない「両面待ち」の強気シナリオが現実味を帯びている。

筆者視点で言えば、この環境は単なるサイクル上昇ではなく、仮想通貨が金融システムの本流に組み込まれる“通過儀礼”に近い。

次に来る波は、単なるバブルではなく、新しい時代の始まりを告げる可能性がある。

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