FRB利下げと仮想通貨市場の行方――ビットコイン優位度とDXYが示す次の展開

米連邦準備制度理事会(FRB)が25bp(0.25%)の利下げを決定し、世界の市場に再び大きなボラティリティが訪れました。株式市場やドル相場だけでなく、仮想通貨市場も短期的に乱高下を繰り返しましたが、その裏で何が起きていたのか。単なる「価格の上下」に惑わされるのではなく、ビットコイン優位度(ドミナンス)とドルインデックス(DXY)、そしてFRBのスタンスを組み合わせて読むことで、次の展開を冷静に予測することが可能です。

本記事では、YouTubeチャンネルで語られた解説内容を整理・検証しながら、初心者にも分かりやすい形で「今の仮想通貨市場がどの段階にあるのか」を解説します。


目次

ビットコイン優位度は「市場心理の体温計」

FOMC後の大きなイベントで最も頼れる指標のひとつが**ビットコイン優位度(Bitcoin Dominance)**です。

  • 上昇しているとき:リスク回避のシグナル。投資家はアルトコインからBTCへ避難。
  • 横ばいまたは低下しているとき:アルトへの資金循環が続いており、市場に安心感がある。

実際、今回の利下げ直後にはビットコイン優位度が急騰することはなく、むしろ低下しました。これは投資家が「アルトにも資金を回せる」と判断している証拠であり、短期的な乱高下の裏で強気の基調が維持されていることを示唆しています。


FRB利下げは「織り込み済み」だった

今回の25bp利下げは市場がすでに予想していた内容であり、サプライズはほぼなし。市場へのインパクトは限定的でした。

ただしポイントは次の二つ。

  1. **SEP(経済見通し)**はややタカ派寄りで、市場が期待する「今後の大幅利下げ」シナリオには慎重。
  2. パウエル議長の会見では、インフレ抑制よりも「雇用への配慮」が強調され、ハト派ニュアンスが感じられた。

つまり、今回のFOMCは「中立〜ややタカ派」のシナリオと「ハト派寄りの姿勢」が同居したイベントであり、株・ドル・仮想通貨が一斉に上下した理由はここにあります。


DXYの「下抜け→戻り」パターン

ドルインデックス(DXY)はFOMC直後に急落(96.2付近)し、その後97.4近辺まで反発しました。これは典型的な「ブレイクダウン後のリテスト」です。

重要なのは今後の方向性。

  • 戻りが失速し、再び下落する場合:ドル安=リスク資産(株や仮想通貨)に追い風。
  • 戻りが続き、上方向に転換する場合:ドル高=仮想通貨に逆風。

筆者の見立てでは、戻りが一巡すれば再びドル安方向へ向かう可能性が高く、その場合はアルトシーズン突入の条件が整うと考えられます。


ビットコインの「ミニサイクル」

現在のビットコインは、約11.7万ドル台のCMEギャップ付近が強力なレジスタンス帯となっています。この水準は7月から繰り返し意識されてきたラインであり、突破は容易ではありません。

ただし、ビットコインには「10日前後で形成される短期サイクル(ミニサイクル)」があり、今回も上方向への“メルトアップ”型サイクルが進行中と見られています。

  • 目標レンジは11.8万〜12万ドル
  • ここを突破できれば「夏のレンジ」へ復帰し、中期上昇トレンドが加速。
  • 届かずに反落した場合は「押し目形成→再挑戦」という二段構えの動きになる可能性が高い。

アルト全体を示す「Othersチャート」

BTCとETHを除く時価総額(通称Others)の動きも注目ポイント。現在はブルフラッグ形成中で、3,700億ドル付近の長期レジスタンスがターゲットとされています。

このライン突破は「資金循環の波」を加速させ、

  1. ETH・Solanaなどの大型L1
  2. 有力L2や中核DeFi
  3. 中小型アルトコイン
    へと順次資金が広がる、典型的なアルトシーズンの流れを作ります。

主要銘柄の展望

Ethereum(ETH)

ボリンジャーバンドの支持線を維持しており、短期的に4,800ドルを再トライする可能性がある。

Solana(SOL)

弱含みからの強い切り返しで、270ドル台が攻防ライン。ETHとの相対チャート(SOL/ETHレシオ)を見ると、ETHと並走する動きが想定される。

Sui(SUI)

ETHやSolanaが一服すると資金が流れやすい銘柄。4ドル前後のレジスタンス突破でモメンタムが切り替わり、10月以降の上昇に期待。


ETFと規制動向:注意すべき点

SECが複数アルトコインETFの承認を進めるとの見方が広がっていますが、実際には銘柄ごとに個別審査が行われるプロセスであり、「Coinbaseに先物があれば承認される」といった包括ルールは存在しません。

また、「DOGEやXRPのETFが即日承認される」といった断定的な情報は誤解を招くため、必ず一次情報(SEC公式発表)を確認する必要があります。

参考までに、BloombergのETFアナリストEric Balchunas氏は、アルトETFの可能性についてリスト化した分析を公開していますが、これは市場の見通しであり公式方針ではない点に注意が必要です。


初心者が守るべきチェックリスト

  1. BTCドミナンスが横ばい〜低下しているか
  2. DXYが再び軟化しているか
  3. Othersチャートがブルフラッグを維持しているか

この三つが揃えば、アルトシーズンが持続する確度は高まります。逆に一つでも崩れたら、一旦ポジションを軽くする判断が有効です。


筆者独自の見解

短期的にはビットコインが11.8万〜12万ドルを突破できるかどうかが最大の焦点。突破成功ならETH・Solana主導のL1ラリー、その後Suiなど中堅アルトへの波及というシナリオが濃厚です。

ただし、イベント直後の相場は「ニュース反転」が起きやすく、急伸の裏で急落もあり得ます。したがって、

  • 段階的利確
  • 逆指値の常設
  • ポジションサイズの適正化

を徹底することで、リスクを最小化しつつ上昇波を取る戦略が最適です。


まとめ

  • FRBの25bp利下げは織り込み済み、中立的イベント
  • ドミナンス低下+DXY軟化=アルトに追い風
  • BTC 11.8万〜12万ドルが当面の分岐点
  • ETH・SOLが先導→Suiなど中堅へ波及する循環シナリオ
  • ETF関連は「個別審査」が基本であり、断定情報には注意

結論として、「ドミナンスは伸びず、DXYは再び軟化する限り、アルトに風が吹く」。この前提を常に検証しながら、市場の波に乗ることが肝心です。

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