歌が未完成だから、物語になる——AI歌唱がもたらした“推し活”の新しい臨場感

アイドルは、人生の苦楽ごとステージに載せる業態だ。

だからこそ、最初から完璧な歌よりも、時に笑ってしまう拙さから少しずつ上手くなる声に、人は深く感情移入する。
『シャインポスト Be Your アイドル!』(Nintendo Switch™ 2/2025年6月5日発売)は、その当たり前の“人間味”をAI歌唱でゲームに持ち込んだ。

結果、ライブは毎回同じ曲なのに同じじゃない
プレイの蓄積や当日のコンディションが歌に刻まれ、推しの成長が耳でわかる。
コナミ+1


目次

「完璧」より「未完成」の価値

あなたが聴いた“伸びたり、外したり、震えたり”は、仕様だ。

専用に開発された歌唱AIがキャストの“歌い方やクセ”を学び、ライブごとに自律的に歌唱を生成する。
固定ボーカルの差し替えではないから、調子が悪い日には音圧が乗らず、ピッチも甘くなる
逆に育成が進めばロングトーンやビブラートが安定し、“昨日より上手い今日”が立ち上がる。

未完成の声が物語になり、コンテンツの質は「スコア」ではなく「挙動」で上がっていく。
コナミ


技術の中身——“似ているのに同じじゃない”

開発はキャスト歌唱を一切流用せず、『シャインポスト』専用AIに歌わせている。

学習したのは声色というより歌い癖や表現の勘所
だから“本人らしさ”をまといながら、毎公演が初演のように立ち現れる。

企画草案の当初からAI歌唱を志向し、試行錯誤で理想型へ辿り着いたという。
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体験設計——ドラマがゲームに出てくる

この歌唱AIは、①育成状況、②ライブ当日の調子、③楽曲/チャレンジ難度を参照し、上手くいく/いかないを歌で出す。

外す日があるから掴める歓喜があり、震えた一音が次の挑戦を正当化する。
経営判断とトレーニングが音として跳ね返るため、プレイログそのものが成長のディスコグラフィになる。
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テクノロジー評価——人間を越えない設計が“正しい”

開発側は明言している。

AIは人間本来の魅力には及ばない
それでも、全キャラが全曲のどのパートでも歌え成長やコンディションの良し悪しを内包できる自由度は、AIにしか出せない。

越えない前提で人間味を拡張する——

この慎重な設計思想こそ、今作最大の発明だと思う。
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クリエイターへ開く出口

ゲーム内の技術はVoiSona向けAI歌声ライブラリ「LAUGH DiAMOND」としても展開。
篁響季/風祭朝陽/小紫桃果/山田花音の4声をDAWで歌わせることができ、学習提供者への利益還元やノウハウ公開も進む。

ゲーム→創作コミュニティへ回路を開くことで、“続きのライブ”はプレイヤーの曲の上でも始まっている。
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これから——“成長する歌”はゲームの標準になる

プレイヤーの選択→ライブの出来→感情の揺れ戻し——

この因果のループは、音ゲー/育成/スポーツ/RPGのあらゆる体験に移植可能だ。
AIは固定演出を確率空間に解きほぐし、プレイ履歴に唯一の再現を与える。
だから、同種の機能は今後のゲームで確実に増える。

没入感はさらに高まり、「最高のゲーム体験」は“変わりうる一瞬”として更新され続けるはずだ。


結び

アイドルは、完璧の再生産ではなく、不完全の更新で人を泣かせる。
『シャインポスト Be Your アイドル!』は、その真実をAIという手段で正しく拡張した。

名演はこれから作る——
あなたの選択で。
コナミ+1


※参考:公式サイト(発売情報/概要)、技術紹介「歌唱AI」、LAUGH DiAMOND(VoiSona)公式。コナミ+2コナミ+2

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