イーサリアム(ETH)に潜む5つの重大リスクと投資家が知るべき現実

イーサリアムは「デジタルオイル」と称され、金融システムの基盤になると期待されてきました。

実際、ETHは時価総額でビットコインに次ぐ存在として仮想通貨市場を牽引しています。

しかし、価格高騰やETF承認による強気ムードの裏で、長期的なリスクは確実に積み重なっています。

ここでは、最新の市場動向や規制環境を踏まえ、イーサリアムが直面する5つのリスクを深掘りしていきます。


目次

1. 競争リスク:ETHの牙城を脅かすライバルたち

イーサリアムは「最も分散化されたスマートコントラクト基盤」として成長しましたが、現在は四方八方から競争圧力を受けています。

  • 高速L1チェーンの台頭
    ソラナ(Solana)は取引処理速度とUXの良さで急拡大し、月間アクティブアドレス数は他のL1+L2を合算した数に匹敵する規模まで到達。
    さらにHyperliquidは月間取引高3,190億ドルを記録し、ユーザーは「分散化」よりも「効率とスピード」を優先している現実を示しました。
  • フィンテック企業の進出
    ロビンフッドはArbitrum基盤の独自L2を構築し、トークン化株式の発行を開始。
    これによりオンボーディングは進む一方で、Ethereum L1の手数料収益は減少する可能性があります。
  • ステーブルコイン発行体の自前チェーン
    CircleはUSDCをネイティブガスとする独自L1「ARC」を発表。
    ステーブルコインが仮想通貨最大のユースケースである以上、この動きはEthereumの手数料収益や利用シェアを直接侵食するリスクとなります。

結論: ETHは「基盤としての存在感」を維持しても、実際の収益や手数料価値がライバルに奪われる「下働きの鎖」になりかねません。


2. 規制リスク:分散化と検閲耐性の揺らぎ

イーサリアムの強みは「検閲に強い中立レイヤー」であること。

しかし、規制当局の圧力がこれを脅かしています。

  • Tornado Cashの制裁(2022年 OFAC)は、開発者逮捕という前例を残しました。
  • Merge直後には、最大で52%のブロックがOFAC制裁対象を検閲するリレーで生成され、Ethereumの中立性が疑問視されました。
  • 欧州のMiCA規制、米国のステーブルコイン法制化(Genius Act)などにより、プロトコル自体がコンプライアンス順応を迫られる未来も。

結論: 中立性を失えばイーサリアムは「最大の売り」を喪失し、他L1との差別化が崩壊するリスクがあります。


3. 機関投資家による支配リスク

現状、ETH価格上昇の大きな要因はスポットETH ETFと機関資金流入です。

  • ブラックロックの「iShares Ethereum Trust」は既に約350万ETHを保有。ETF全体では流通量の約5%を占めています。
  • さらにステーキング機能付きETFが承認されれば、バリデーターの多くをブラックロックやコインベースが支配する構造が出現。

コインベースは既に約12万のバリデーターを運営しており、ETFステーキングが始まれば中央集権化は一気に進行。

結論: ETHは「投資可能な資産」としては魅力的でも、「誰でも自由に使えるパーミッションレスなネットワーク」という本来の理念が骨抜きになるリスクがある。


4. 企業トレジャリー依存リスク

マイクロストラテジーがBTCを押し上げたように、ETHも企業による大量保有が進んでいます。

  • Bitmineは150万ETH以上を保有し、最大の企業トレジャリー。
  • 全体で流通量の約2.3%が上場企業のバランスシートに。スタンダードチャータードは将来的に10%到達もあり得ると予測。

しかし、この「企業買い」が逆回転すれば危険。

  • 小規模・赤字企業が多く、資金繰り悪化 → ETH売却ラッシュ
  • 担保割れや資金調達難で連鎖的な強制売却
  • 株式発行でETH買い → 株価急落で資金源消滅

結論: トレジャリー資金は強気相場では追い風だが、弱気相場では供給津波となり、ETH価格を短期間で崩壊させる可能性がある。


5. 技術的リスク:複雑さが孕む致命的バグ

イーサリアムは進化を続けていますが、その速度はリスクにも直結します。

  • 2023年、Beacon Chainのファイナライズ停止(25分+1時間)
  • 2021年、Gethクライアントのバグでチェーン分岐
  • 2024年のDencunアップグレードでは新たな「ブロブ」市場が誕生し、挙動は未だ観察段階

さらにリステーキング(EigenLayer等)の急拡大は、同じETHを担保に繰り返し利用するループ構造を作り出し

暴落局面では清算スパイラルを引き起こす可能性があります。

DAO事件(2016年)のように「Ethereum Classic」が誕生した過去を考えれば、致命的バグが再び全体を揺るがすリスクは無視できません。


まとめ:短期強気、長期不安定

✅ 短期的にはETF・企業買い・トレジャリー需要でETH価格は強気。

❌ しかし長期的には 「中央集権化・規制圧力・技術複雑化」 の三重リスクで、Ethereumの根幹理念が揺らぐ危険がある。

投資家にとって重要なのは、価格高騰時こそリスクを直視すること

ETHは「上がる資産」であると同時に、「壊れる可能性を常に孕むシステム」でもあるのです。


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イーサリアムは「伝統金融に組み込まれて生き残る」のか、それとも「理念を失って緩やかに衰退する」のか。

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