2025年、米国の暗号資産市場はこれまでにないほどの追い風を受けています。
その理由はシンプルです。ホワイトハウスの中枢にいる閣僚たち自身が巨額の暗号資産を保有しているからです。
規制を作る立場の人間が、自らの資産価値を上げる政策を打ち出す。
この構図が市場の強烈な支えになっています。
果たして今の暗号資産ブームは単なる循環相場なのか、それとも「政権ぐるみの全面テコ入れ」なのか。
本記事では、トランプ政権の主要人物とその暗号資産利害関係を整理し、恩恵を受けるプロジェクトを分析します。
目次
政権が打ち出した暗号資産シグナル
- 大統領令14178(2025年1月)
デジタル資産市場に関する大統領作業部会を設置 - ステーブルコイン推進法(Genius Act)
ドル連動型コインを制度的に承認 - 401kで暗号資産投資を解禁
- 「デバンク」慣行の終了
銀行が暗号資産企業を締め出す行為を停止
これらの政策だけでも相場は十分に強気ですが、さらに注目すべきは閣僚自身の保有ポートフォリオです。
公開資料によれば、トランプ政権幹部の5人に1人が暗号資産を保有しており、総額は数億ドル規模。
ベンチャーファンドや家族名義を通した実際の保有額はさらに膨らむと見られています。
主要人物と利益構造
1. デイビッド・ローソン(AI・暗号資産戦略担当補佐官)
- 元ペイメント企業幹部、投資ファンド「Summit Ventures」共同創業者
- ファンドは暗号資産カストディ大手「BlockSafe」に巨額出資
- 政権入り前に個人保有のBTC・ETHを売却したが、ファンド経由で暗号インフラへの利害関係を維持
→ 受益銘柄:WBTC、カストディ関連株・インフラ
2. ハワード・ミラー(商務長官)
- 自身の金融会社がテザー(USDT)の準備金を管理
- さらにテザー株5%(約6億ドル相当)を取得
- テザーが出資するマイニング企業「Bitcore」やデータセンター企業「NorthGrid」にも影響力
→ 受益銘柄:USDT、マイニング関連企業
3. トーマス・グラント(司法副長官/トランプ元顧問弁護士)
- 就任直後、DOJの暗号資産取締部門を廃止
- 「明確な故意がない限り起訴しない」という新方針を導入
- 個人でBTC・ETHに加え、MATIC、ADA、DOT、QNTなどを保有
→ 受益銘柄:DeFiトークン全般(AAVE, COMP, MakerDAOなど)
4. ポール・ハリス(SEC議長)
- 金融コンサル出身で複数の暗号資産取引所と関係
- 「大半の暗号資産は証券ではない」と公式宣言
- ICOやエアドロップを合法化し、DeFi開発者に免責サンドボックスを提供
→ 受益銘柄:Coinbase、AAVE、Compound、MakerDAO
5. スコット・バーンズ(財務長官/元ヘッジファンド運用者)
- BTC先物や暗号資産関連株を数十万ドル規模で保有
- ステーブルコインを「ドル覇権を拡張するツール」と位置づけ推進
- 銀行に対する「評判リスク規制」を撤廃し、暗号資産企業の口座開設を全面解禁
→ 受益銘柄:USDC、銀行系ステーブルコイン、ドル建て金融商品
6. ジョナサン・ヴァンス(副大統領)
- 数十万ドル規模のBTCを保有、現在は100万ドル超に膨張
- ベンチャーファンドを通じ暗号資産スタートアップに投資
- ピーター・ティール系ネットワークと強力な関係を持つ
→ 受益銘柄:BTC、暗号資産インフラ企業
恩恵を受ける暗号資産セクター
- ステーブルコイン
- USDT:商務長官の庇護で規制リスク激減
- USDC:SECの「非証券」宣言で安定性向上
- 大手銀行発行のドルコイン:次の巨大市場
- DeFi
- 法的リスクが消滅 → AAVE、Compound、MakerDAOが急拡大
- 取引所・インフラ
- Coinbase:フルサービス解禁で最大受益者
- BlockSafe(BitGo相当):IPO期待
- ビットコイン
- 財務長官・副大統領が保有
- 「準備資産」化する可能性
歴史的なリスク
- ドットコム期(2000年)
規制緩和 → 投資急拡大 → バブル崩壊 - リーマン前(2008年)
金融機関の自己規制 → 暴走 → 危機
今回も同じ轍を踏む可能性は大きい。
短期的には強烈な上昇相場だが、数年後に「崩壊の代償」を払う可能性があることは忘れてはいけません。
投資家への戦略提言
- 短期:規制確実性の恩恵を受けるステーブルコイン・DeFiを狙う
- 中期:過剰な資金流入によるバブル化を警戒
- 長期:政権交代・規制反転リスクを見据えて出口戦略を構築
「誰の資産を膨らませているのか」を理解すること。
それが今後数年の暗号資産投資で生き残るための最重要ポイントになるでしょう。