ビットコインの夏枯れ相場と「レクトテンバー」の行方

夏休みも終わりを告げる8月末、ビットコインは大きな上昇もなく“夏枯れ”ムードを引きずりながら月を締めくくりました。

価格は10万ドル割れが現実的に意識される水準まで迫り、投資家心理も冷え込み気味です。

しかし歴史を振り返れば、9月は株式市場・暗号資産市場ともに統計的にもっとも弱い月として知られています。

つまり、この下落は単なる“季節性”である可能性も高いのです。

では、目先の市場に何が起きているのか、そして9月以降にどんなシナリオが待っているのかを整理していきましょう。


目次

ビットコイン相場:支持線割れと100K攻防戦

直近のBTCは11万ドル台からじりじりと下落し、現在は10万9千ドル前後で推移しています。

CMEギャップ
11.3万〜11.7万ドルの間に大きな窓が開いており、通常はこれを埋めに行く動きが出るのが通例。ただし今回は下方向からのアプローチとなるため、反発力が試される局面です。
重要サポート
フィボナッチ38.2%水準にあたる10.5万ドル前後。ここを割り込むと10万ドル大台が本格的に意識されます。
RSIダイバージェンス
価格が上がってもRSIは下降する「弱気ダイバージェンス」が月足で出ており、勢いの鈍化が鮮明です。

つまり、市場は「今が天井なのか? それとも押し目なのか?」という岐路に立っています。


歴史が語る「9月の呪い」

統計的に見ると、ビットコインの9月は過去12年中8回がマイナス。平均下落率は約3.8%

背景には以下のような構造要因があります。

  • 機関投資家のリバランス(四半期末のポジション整理)
  • 税金対策の売却(損失確定による節税)
  • 債券発行増による流動性吸収
  • 夏休み明けの取引再開での売り圧力

このため、“レクトテンバー(Rekt + September)”というスラングが定着するほど、投資家は毎年この時期の下落に身構えています。


それでも「グリーン9月」の可能性はある?

悲観一色に見える市場ですが、今年は例年とは異なる要因も存在します。

  1. FRBの利下げ開始観測
    9月FOMCでの利下げ確率は9割超とされ、金融緩和サイクル入りはリスク資産に追い風。
  2. ETF資金流入の復活
    一時マイナスだったビットコインETFのフローが再びプラス転換。
    特に米国ETFが資金吸収の“受け皿”として機能し始めています。
  3. 企業による暗号資産買い
    マイクロストラテジーに続き、米上場企業や中東ファンドがBTCや新興プロジェクトを購入。
    供給圧力を吸収する役割が期待されます。
  4. 新規トークンの大型ローンチ
    注目はトランプ家が主導するWorld Liberty Financial (WLFI)
    独自ステーブルコインUSD1も同時に始動し、初日から取引高は数十億ドル規模。
    話題性と資金流入が市場全体のセンチメント改善につながる可能性があります。

トランプ家の「クリプト2.0」:WLFIの衝撃

2024年10月に始動したこのプロジェクトは、単なるミームコインではなく

DeFi+トラディショナル金融の架け橋を掲げています。

USD1ステーブルコイン:すでにCoinbaseへ上場。流通網の確保が早期に進展。
トークン配布:全体供給1000億枚のうち、初回解禁は20%。残り80%はガバナンス投票次第。
投資家:ジャスティン・サンが私募で7500万ドルを投入。アブダビ系資金も参画。
時価総額:初日から約310億ドルのFDV(完全希薄化評価額)に到達。

この規模感は、伝統金融の巨大ネットワークと政治力が暗号資産市場へ直結した象徴的事例といえます。


アルト市場と「黄金の兆し」

アルトコイン市場も苦しい展開が続きますが、「ゴールデンクロス」(50日移動平均が200日を上抜け)が点灯しつつあります。

特に「トップ10外」のアルト群(Others)がBTC比で上昇に転じれば、待望のアルトシーズン到来も見えてきます。

さらに「パイサイクルトップ指標」では依然としてサイクル天井には遠く、長期的には上昇余地が大きいと判断できます。


投資家が取るべきスタンス

現状は「9月の下押し」に備える局面ですが、同時に押し目買いの好機にもなり得ます。

  1. 守りの姿勢
    10.5万ドルを割れた場合、リスク管理を優先。分散投資と資金管理を徹底。
  2. 長期目線での仕込み
    ETFや企業買いなど構造的支えを意識し、下げ相場を“安値拾い”のチャンスとする。
  3. テーマ投資
    WLFIやUSD1のような「政治×金融×暗号資産」の新潮流に注目。
  4. 歴史から学ぶ
    1970年代米国のスタグフや戦後イギリスの財政危機、ギリシャ債務危機と同様、巨額債務・金融緩和は必ず資産価格に波及します。

まとめ

2025年9月の暗号資産市場は

「歴史的に最も厳しい月」×「FRB利下げ開始」×「トランプ家プロジェクト始動」

という特異な条件が重なっています。

100K攻防は市場心理を大きく左右するでしょう。

しかし、下落が続けば10月以降の反発エネルギーを蓄える“助走”となる可能性も高い。

今は短期的な悲観に溺れるのではなく、歴史・統計・政策・新規テーマを冷静に見極めながら、次の大波を待つ局面です。


👉 あなたはこの「レクトテンバー」、下落を恐れて静観する派ですか? それとも押し目を拾いに行く派ですか?

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