🍞物価は上がり続けるのに、給料は増えない。そんな国ばかりじゃない?
2021年、各国の中央銀行は「インフレは一時的」と断言していました。
けれど2025年、現実はどうでしょう?
世界全体のインフレ率は未だに4.3%。
あなたの給料が仮に毎年2%ずつ増えていても、物価はそれ以上に上がっているということです。
その一方、まるで別世界のように、中国では物価が下がり続けているのです。
企業は在庫に埋もれ、消費者は財布の紐を締め、国全体が不況の気配を濃くしている。
今、世界経済はかつてないほど真っ二つに分裂しつつあります。
- 一方は「インフレが止まらない国」
- もう一方は「デフレから抜け出せない国」
この奇妙なねじれが、私たちの生活にも資産形成にも静かに、そして確実に影響を与えはじめています。
🔥なぜインフレは「止まらなかった」のか?
多くの人が「お金を刷ったからインフレになった」と思いがちですが、それは半分正解、半分間違いです。
インフレの引き金は、3つの巨大なショックの同時発生でした。
■①史上最大の財政出動
コロナ後、アメリカ政府はCARES法や救済プランにより、トリリオンドル単位の現金を国民に配布。
「紙幣の雨」が降り、家計の可処分所得が一時的に爆発的に増加しました。
■②サプライチェーンの大混乱
ロックダウン、コンテナ不足、スエズ運河の座礁事故。
一時は海上輸送コストが10倍に跳ね上がりました。
あらゆるモノの流れが止まり、企業は原材料や部品の調達に苦しみました。
■③金利ゼロと量的緩和の放置
その間、中央銀行は「一時的だから」と言って金利ゼロを継続し、毎月巨額の国債を買い支え続けました。
つまり、マネーがダブついたまま、供給が不足していたのです。
💸でも企業は…そのインフレを“利用”していた?
意外かもしれませんが、2022年のユーロ圏インフレの約3分の2は企業利益の拡大によるものでした。
そう、「原価が上がったから値上げします」と言いつつ、実は利幅を拡大していたのです。
これは「グリードフレーション(強欲インフレ)」と呼ばれ、経済の構造的問題を露呈しました。
🌾ウクライナ侵攻で物価は一気に「火柱」へ
2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻が始まりました。
この二国は、世界の小麦の30%、とうもろこしの20%、ひまわり油の80%を供給しています。
さらにロシア単独で、世界の石油の11%、天然ガスの17%を占める資源大国。
その供給が止まれば当然、エネルギーと食料の価格は跳ね上がる。
- 原油は130ドル台へ
- 欧州ガスは10倍に高騰
- 小麦・トウモロコシ価格も急騰
世界銀行の分析によれば、この戦争は2022年の世界インフレに+1.3%も上乗せしたとされています。
🧊対する中国は「逆方向」へ:異常なデフレスパイラル
中国は全く違う次元で苦しんでいます。
物価は上がるどころか、生産者価格は2年連続でマイナス。
消費者物価もほぼゼロ成長。
その原因は明確です。
■①不動産バブルの崩壊
2021年以降の政府規制で、エバーグランデなど大手不動産会社が次々と経営危機。
中国人の資産の70%を占める「自宅の価値」が暴落しました。
中間層は財産を失い、消費意欲が一気に冷え込みました。
■②供給過剰の悪循環
政府は不動産の代替として「製造業」支援を強化。
EV・電池・太陽光などに巨額の融資を行い、設備は増えたが…国内では売れない。
結果、価格を下げてでも輸出に回すしかないという状況になり、世界に deflation を輸出する形に。
🌐世界経済は「バラバラの進路」へ突入している
これまでの世界は、アメリカのFRBが利上げすれば、他国も追随する“協調モード”でした。
しかし今は違います。
- 🇺🇸FRB:インフレ抑制のために利上げ→今は利下げのタイミングを探る
- 🇨🇳中国人民銀行:デフレ脱出のため利下げと流動性供給を継続
- 🇯🇵日銀:30年ぶりにマイナス金利を解除。初の「出口戦略」へ
つまり、通貨政策も金利動向も完全に分裂状態。
これは投資家にとって、かつてない「チャンス」と「リスク」の同時到来を意味します。
📉「三重のインフレ」がしぶとく残る理由
短期の需給調整では解決しない、構造的なインフレ要因が存在します。
✅ クライメートフレーション(気候由来のインフレ)
- 干ばつ・洪水・熱波で農作物が壊滅
- 食料価格が高止まりする構造
✅ グリーンフレーション(脱炭素由来のインフレ)
- EVや再エネに必要なレアメタルの供給不足
- 投資ブームに追いつかない鉱山整備
✅ フォッシルフレーション(化石燃料の制約によるインフレ)
- 原油投資の減退で供給弾力が消失
- 地政学ショックのたびに価格が急騰
🪙そして暗号資産は「第三の逃避先」になり得るか?
これらの世界的混乱が、ビットコインやイーサリアムにとって追い風になるという指摘も増えています。
- ✅ 高インフレ環境:現金価値が減る中で、BTCが「デジタルゴールド」として注目
- ✅ 中国からの資本逃避:法定通貨ではなく暗号資産経由での資産移転
- ✅ 中央銀行の方向性不一致:不透明感が高まるほど、非相関資産としての価値が上昇
さらに、米国でETFが承認され、機関投資家の参入も容易に。
インフレが再燃すれば、「資産保全」ツールとしての需要が急騰する可能性も否定できません。
🧭まとめ:世界が向かうのは再統一か、さらなる分裂か?
世界の経済は、いま「温度差」ではなく「気候差」が起きているようなものです。
このままインフレとデフレが共存し続ければ、資本の動きも政策の優先順位も、今後さらにバラバラになっていくでしょう。
私たち個人投資家に求められるのは、ただ一つ。
どちらの気候にも対応できる「耐候型ポートフォリオ」を作ることです。
- インフレにもデフレにも強い構成
- 通貨や資源のボラティリティに備える
- キャッシュポジションを適切に残す
- 中国関連銘柄の「恩恵を受ける側」と「打撃を受ける側」を見極める
世界は、今、地殻変動の真っただ中。
あなたの投資スタンスは、もう「旧世界の前提」で作られていませんか?